クライミングのためのダイエット。その1

2キロ・ワングレード

クライミングは重力に抗して物理的な高みを目指す運動だ。
そのため、自分自身の体重はパフォーマンスに大きな影響を与える。

クライミングを始めたころに先輩からよく聞いた言葉に「2キロ・ワングレード」というのがあった。つまり、実力は変わらなくても、体重が2kg減れば登れるグレードがひとつ上がるよ、逆に体重が2kg増えればひとつ下がるよ、ということである。(ちなみに、これはリードクライミングでの話で、11a→11bなどが「ワングレード」になる)。

もちろん、これはわかりやすく丸めた言い方であり、きちんと計測した根拠があるわけではない。しかし、経験的には、それほど間違っていないのではないかと思う。
1kgの増減だと、体感できるほどの違いはないが、2kg増えると「体が重いなあ」と実感する。トップレベルのコンペティターなど、高度なレベルのクライマーなら、1kgの差でも十分な違いを感じるのかもしれない。

クライミングでは痩せないが、クライミングをしている時は太らない

とはいえ、クライミングには、やっていればそれ自体で痩せるようなダイエット効果はほとんどないと思う。脂肪を効率的に燃焼させるような有酸素運動ではないからだ。
もちろん、これまでまったく運動をしていなかった人であれば、クライミングだけでも多少痩せるかもしれないが、すでに習慣的にクライミングをしているクライマーが、クライミングを続けるだけでさらに痩せるということは、考えられない。

それでも自分は、クライミングをしている間は、体重が大幅に増えることはない。
毎朝体重計に乗って体重を確認し、少し増えてくれば節制するからだ。クライミング自体で痩せることはないが、クライマーとしての意識が太ることを防いでいた。
しかし、5月の転職以降、しばらくクライミングを休んでいる間、体重管理のモチベーションも下がり、体重計にも乗らなくなる。そして気がつけば、8月までになんと6kgも増量(59→65kg)していた。意識の有無というのは、案外大したものである。

イメージ通り身体が動かないのは悲しい

8月からは少しずつクライミングを再開したが、ただでさえブランクがあるところに、この増量ではまともに登れるはずがない。なにしろ、冒頭のたとえで言うなら、3グレード分の増量である。
ジムの壁の前で「この程度の課題なら、登れるはず」と思っていても、実際に体は動かないし、ホールドを持てない、保持できない。

自分の記憶にある自分の登りのイメージと、実際の体の動きとが、まったく違うのだ。これはけっこう悲しいものがある。

以前のエントリ(「クライミングの楽しさ、あるいはなぜクライミングに飽きないのか」)にも書いたように、自分にとっては、「思い通りに体が動く(ムーブが作れる)」ことが、クライミングの本質的な楽しさだ。ルートの最初から最後まで思い通り体が動けば、結果的に「完登」がついてくる、というイメージである。完登はあくまで結果で、本質的なことは、体を自分のイメージ通りに動かせるかどうか、なのだ。
だから、イメージ通り動かない身体でのクライミングは、情けなく悲しい。

本気の減量を決意

それで、増えた分、つまり6kgのダイエット、減量を決意した。
ダイエットは何度か実行しており、最高では12kg落とした(クライミングを始める前)。やり方はわかっている。経験上、体重の5%程度であれば、落とすのはそう難しくない。だが、10%に近い減量となると、かなり本気で取り組まないとできない。

最近は、ダイエット方法としてローカーボ(糖質制限)ダイエットが流行っているが、割と面倒そうなのと、コストが高めになりそうなのとで、自分はあまり好きではない(実際にやったことがないから単なるイメージだが)。

昔ながらの「摂取カロリー<消費カロリー」と、カロリーを基準にするやり方の方が簡単でわかりやすく、また、何でも食べられるので好きだ。
その日の運動量にもよるが、摂取カロリーがざっくり1日1,500~1,800kcalになるように調整する。たまには多めに食べてもいいが、2,000kcalは超えない。今は、すぐに食品のカロリーを調べられるサイトがあるので、計算は楽だ。本当は毎日1,400kcal程度に抑えると、スピーディに落ちるのだけど、仕事やクライミングをしながらだと、かなりつらい。

単に摂取カロリーを減らすだけだと筋肉もどんどん落ちていくので、筋トレをすることはもちろん、タンパク質の割合を増やしてなるべく筋肉を減らさないようにする。このあたりの調整は、プロテインパウダーを使ったり、ダイエット食品を使ったりすると簡単になる。

4週間経過。3kg減でだいぶ登れるようになってきた

そうして過ごした4週間の推移が下記のグラフ。3.1kgの減だった。思ったより減らない感じである。有酸素運動が不足しているかもしれない。バイクを漕ぐのが効率的なのだけど、そう毎日はジムには行けない。以前は家にバイクがあったので、毎日漕いでいたら効率的に減ったのだけど、今はないので家での有酸素ができなくなってしまった。仕事をして、クライミングもしてだと、時間の制約も大きい。

ただ、3kg程度の減量でも、クライミングの調子はだいぶ上がってきた。最高時の8割くらいのところまでは戻ってきた感じがしている。ここからさらに3kg減らせれば、相当キレが良くなりそうな予感がする。
だが、体重が5%程度減ると停滞期になり減りにくくなる。大変なのはこれからだが、もうしばらくがんばりたい。

ダイエットの成果。体重の推移

豚から人間クライマーへの推移……

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