翌朝は6時半くらいに起床。談話室にあるポットのお湯をもらい、持参したレギュラーコーヒーパックで水筒にコーヒーを淹れる。
迎えに来てくれたWっち号に乗り、7時の開店と同時に「ガスト」に入り朝食。
8時過ぎに岩場に降りると、今日は風が強い。ラジオの天気予報では昨日より暖かいと伝えていたが、体感では明らかに寒い。
今日はアップで、ヌンチャクが掛かっている「風に吹かれて」(11a)。このルートは2年前にOSしているが、1回しか登っていないのでよく覚えていない。たしか、上部を回ったような気がする(女登り?)。今回、下の方から回ったらあえなくテンション。アップなのであまり粘る気も無く、ハングを越えたところで降りる。
故障の右膝への負担が大きそう
のんびりと準備して「パンピングアイアン1」へ。
スタートから5ピン目をクリップして、左のレストポイントに入るところまでは問題なし。6ピン目のヌンチャクだが、自分には、ルーフの下から掛けることができなかった。つまり、上のガバを取ってから掛けるしかない。ルーフ下ガバのマッチから左手をカチに送り、右足を手に足でヒール。そして思い切ってガバを取りに行くが、フォール。
このとき右足のヒールががっつり決まっているのはいいが、決まりすぎて落ちるときに残ってしまうのか、逆さになりかけた。どこもぶつけたりはしていないが、ヒールが決まっていた右足をひねったのかちょっと痛い。
自分には、右足の前十字靱帯断裂、半月板損傷という故障がある。そのため、右膝は不安定だし、運動をすると常に痛みがある。この右足ヒールでの乗り込みが、なかなか厳しい。
何度か試したが、越えられそうにないので、6本目が掛けられないまま、一度降りる。SダさんやWっちさんに、「自分が登って6本目だけ掛けてきましょうか」と言ってもらった。お気持ちは嬉しいが、丁重にお断りする。自分でヌンチャクを掛けることができないようなルートなら、そもそも登るべきではない。(マスタースタイルでRPすべき、という意味ではない)。
しかし、休んでいる間に、別グループの上手そうな人が同ルートを登り始め、上まで登ってしまった。図らずも、上部のヌンチャクが掛けられた。そして、そのグループの別の女性がトライ。やっぱり核心部で苦労をしている。後から聞いたら「キャデラックランチ」も登っている強い方とのこと。ということは、パン1はキャデラックランチよりも難しいのか?(そんなことはない)
核心。そこだけやればできることもある、が
さて、2トライ目。ヌンチャクが掛かっていれば、上のガバを取らなくても、左手カチ、右足ヒールで微妙だけどクリップができた。しかし、クリップで力を使ってしまうと、上を取りに行くムーブが出せない。弱い。
とにかく身体を慣らそうと、何度か練習。左右を持って、ヒールを掛けた状態からだと、上のガバも取れるときがある。確率は50%くらい。けど、少し下からつなぐとできなくなる。
3トライ目。さっきと同じように、6ピン目をクリップしようとロープをたぐったところで、右足のヒールが外れてフォール。たぐり落ちになってしまった。幸い、どこにもぶつけたりはしなかったが、ちょっと危ない。
クリップをどこでするかが問題
以前、勝井プロがこのルートを登っているときに動画を撮ったのだが、それを見ると、6ピン目のクリップのときは、ヒールせずに、下のガバカチを右足で踏んでクリップしていた。あれが良いのかなあ?もし落ちても、落ちる姿勢が横にならないので安全ではありそう。
ちなみに、勝井プロも、そしてさっき登った方も、右足はヒールではなく、内がわの側面で踏みながら膝をひねってねじり込む感じにしていた。それで、スタティックに上のガバを取っていた。それもちょっと試したけど、右膝に故障を持つ自分にはちょっと厳しそう。
問題は、クリップをどこでするかだなあ。上のガバを取ってからが本筋な気がするけど、ちょっと怖い。落ちる距離が長いことは平気なんだけど、靱帯が切れている不安定な右足で、がっつりヒールが決まったままドカ落ちするのが、膝が折れそうな不安がある。
本日、「パン2」スクールを卒業したMワさんも「パン1」に参戦するとのこと。その後にはさっきの女性も待っているし、自分はここまでとした。下部のヌンチャクだけ掛け替えて降りる。
・パンピングアイアン1、本日3便、計5便。
温泉→焼き肉経由で帰宅
他のメンバーももう登らないとのことで、まだ3時半くらいと少し早めだが撤収。
帰りは、富戸の温泉(500円。いい温泉でした)で汗を流してから、伊東近くの焼き肉屋で夕食。久しぶりに焼き肉を食べたら美味しかった。渋滞もなく、上野で下ろしてもらったのは21時前。
運転その他お世話になったSダさん、Wっちさん、ありがとうございました。
「パン1」ヌンチャクメモ
パン1はハングを越えていく長いルートなので、上部に行くとロープの流れが悪くなりやすい。ロープの流れを考えると、2ピン目と4ピン目は超長ヌン(40センチ)にした方が良い。
5ピン目は普通の長ヌン(ペツルの25センチ)でOK。ここを長くしすぎると、6ピン目を掛けられず大落ちたときに壁にぶつかりやすくなり、むしろ危ない。
そして、登るときは2ピン目を掛けてから1ピン目を外す。1ピン目を掛けたままだと、クライマーを見やすい位置にビレイヤーが移動すると、上部でロープが重くなる。また、1ピン目を外すときには上から引っ張る感じになるので、長ヌンまたは連結の方が外しやすい。
ちなみに、この1ピン目のようにアンクリップすることがわかっている場合は、ロープ側にはゲートに「あご」のないカラビナを使った方がよい。自分はワイヤーフードのあるBDのライブワイヤーを使った。万一落ちた場合の「ウィップフラッシュ」を防ぎつつ、アンクリップしやすいという意味では、ベストカラビナ。
(「ウィップフラッシュ」を知らない人は、『生と死の分岐点』(ピット・シューベルト)を読んでください。)
天候メモ。強風の日は落下物に要注意
昨日とうって変わって、日は出ていたが一日中強風が吹き、寒かった。登るときは長T。レスト時はフリース、ダウンジャケットも着ていた。
強風に飛ばされて、ときおり上部から木の枝などが落ちてきていた。一度は、枝がSダさんに直撃した。小さいものだったから良かったが、大きな枝や岩だったらと思うとぞっとする。木自体が大きく揺れて、幹が折れるとか、あるいは根の張った岩ごと落ちそうな感じで、ひやひやした。先日も巨大落石があったばかりだから、気をつけた方がいい。特に、雨の後は危ない。
最初は真ん中あたりの大岩にシートを敷いていたが、昼くらいには危険を感じて「エアダンス」あたりの岩壁の真下に移動した。他のクライマーも、壁下か、逆に海側に移動する人が多かった。
今日のシーサイド
・「パン2」同期のMワさんがついにRPし、見事にスクール卒業。おめでとう。
・ツヨツヨのHさんが、「シンデレラボーイ」(13b)をRP。わずか6、7トライとか。強すぎ。
・Mイさんも、「シンデレラボーイ」(13b)をRP。岩場中の人たちの祝福を受けていた。
・ワールドカップ準優勝の是永敬一郎さんが来ていた。「虎の穴」(13a)をOS。考えられないホールドでチョークアップする姿に、虎トライヤーからは驚きの声が。