ベースキャンプのロックフェスティバル2017で新設された「オーバー50」カテゴリーに思うこと

クライミングジム「ベースキャンプ」入間店で開催されるリードクライミングのコンペ、ロックフェスティバル2017のエントリー受付が、もうすぐ(7月1日から)はじまる。

最近、よく錦糸町T-WALLでのリードに付き合ってもらっているNカタさんが参加に興味を示しているので、ぼくもちょっと考えてみた。

コンペの闇か、コンペティターの闇か

ただ、以前、ベースキャンプの壁に残っていた「ロックフェスティバル2016」の課題を登ったところ、事前に公開されているレギュレーションと、実際に出場しているクライマーの実力がかけ離れていることがわかった。
たとえば、「エントリー」クラスは、「レッドポイント5.10D以下」という規定になっているのだが、実際のエントリークラスの決勝課題は「5.12A」だった。

天気予報が好転したので北川に向かったが、染み出しが多くてあきらめ。転戦先のベースキャンプではエントリークラス予選課題を登ったものの、決勝課題では敗退。

そしてエントリークラスの優勝者は、この12AをOSしている。一般的に、RPグレードはOSグレードより、3~4グレードは上だろうから、去年の優勝者のRPグレードは12D~13A位だと推定される。そういう人が平気な顔して「5.10D以下」の「エントリー」クラスに出て優勝していること、また、ルートセッターもそれを見越して、5.10D以下クラスの課題を12Aに設定してること。こういうコンペの闇というか、コンペティターの闇というかが、非常に嫌な感じがする。

しょせんは「お祭り」なんだから、そんな細かいことは言うなよ、ということかもしれない。また、実務的にそういうことを排除するのが難しいのかもしれない。が、自分はそういう不透明な部分が嫌いである。不透明というより、内向き、内輪乗りというのかな。内輪の人たちは実は事前にそういう内情を知っているけど、外向けには別の規定を示している。本音と建前の使い分けみたいなところが、いやらしい感じがする。

50歳以上と言っても、いろいろな方がおりまして…

なので、やっぱり自分は出ないだろうとは思ったが、今年は、オーバー50(50歳以上)のカテゴリーが設けられるという。このカテゴリの規定は年齢だけで、RPグレードなどは問われない。RPグレードをごまかして出場する人はいても、年齢をごまかして出場するクライマーはさすがにいないだろう。自称によるRPグレードでの規定に比べれば、公正ではある。

そして、自分は今年ちょうど50歳になったばかり。クライマーが加齢によって衰えるということを前提にすれば、もっとも有利な年齢ということになる。それで、ちょっと心が動いた。

しかし今度は別の問題がある。というのは、「50歳以上」という年齢でのひとくくりは、さすがにちょっと乱暴なのではないかと思えるのだ。たとえば、平山ユージさんはいま48歳で、2年後には50歳になる。2年後のユージさんと、同じクラスで登ると考えると、それは無いわー。

2年後のユージさんクラスの人が出たら、予選が5.12台、決勝は13ノーマルか13+という感じになるだろうか。自分なら、そんなところに混ざるくらいなら、普通のエントリークラスに入った方が絶対にいい。しかし、今年のルールでは、50歳を越えている人は、強制的にオーバー50のカテゴリーに入れられてしまうのだ。エントリークラスには出場できない。

ユージさんは別格としても、オーバー50でコンペに出るような強いクライマーがそんなに少なのかと言えば、ぼくの感覚では、そんなことはないと思う。川口のパンプ1や錦糸町T-WALLで登っていると、50歳以上で、ぼくなどは足元にも及ばないくらい強い、上手いクライマーはごろごろいるし、それこそ名取冬男さんみたいな例だってある。そういう人たちと「50歳以上」とまとめて1クラスにされてしまうのは、ちょっと乱暴だな、と。

オーバー50のカテゴリーは今年新設されるものだから、おそらく試験的に実施する感じもあるのだろう。まずは1回やってみて、参加者の状況などを見ながら、必要があれば来年はクラス分けなどの調整をするのかもしれない。それはわかるのだが、今年の1クラス制では参加しずらいことに変わりはない。

しかし、5年後には出場権がもらえるJFAのマスターズクライミング選手権(男子55歳以上、女子50歳以上)がある。それに向けて、今からコンペ慣れしておくのも悪くないとか思ったりして。うーむ。。。