Kスケさんに最後のお別れ

最後のお別れ

前週に続いて台風が近づいており、日曜日は午後から雨が降り出していた。

今年は雨が多い。週末になると雨が降るようなタイミングで、クライマーを泣かせている。降るなら平日にしてくれればいいのにと思いながら、でももう外岩に行くことも少なくなった自分にはあまり関係ないかとも思いながら、地下鉄の東西線に乗り北習志野駅で乗り換え、三咲駅で降りた。つい先日まで、その存在すら知らなかった駅だ。

知らない町でバスに乗るのは、むつかしい。辛気くさい雨の日ならなおさらだ。乗り場に迷っているうちに、1本乗り逃してしまうと、次のバスは30分ほども後だった。バス停を降り、暗い空の下でもひときわ暗い森の中で墓所を目指して歩くうちに、スマホで地図を確認していているのに、道を間違えて遠回りをしてしまった。

そういうわけで、Kスケさんの墓に着いたときはもう5時だった。

さほど遠くない時間まで人がいたようで(たぶんクライマーの仲間だろう)、墓前の線香はまだ煙をくゆらせている。それを見たときはじめて、自分が線香も供物も持っていないことに気づいた。いい歳して、そんなことにも気が回らない自分が情けない。墓地の売店は閉まっており、近所にも店はないのであきらめた。

そしてちょうど1年ほど前、Kスケさんに誘われて、K子さんの墓参りに行ったときには、Kスケさんはちゃんと缶ビールを2本持ってきて、墓前に供えていたことを、急に思い出した。あの後は、錦糸町に戻って登ったんだよな。

雨はやまない。時間が遅いこともあり、まったくひと気のない墓地で、20分か30分かそれくらいの時間、Kスケさんとあれこれと話をした。あちこちの岩場やジムでの思い出話。最後のお別れ。心ゆくまでゆっくり話した。

墓誌に刻まれたKスケさんの戒名には「岳」の字が使われており、いい戒名だと思った。

ロックランズでのお別れ会

それからふたたび昏い森を抜け、バスに乗り、電車に乗り、葛西のロックランズへ。

お別れ会は多くの人が参集し、良い会であった。このような会に場所を提供してくれたロックランズと田中店長には感謝しかない。また、ご遺族との連絡をはじめ、今日の会のために奔走してくれたミナエさん、イシフクさん、タケウチさん、ナガハマさんなど関係者にも、厚くお礼を言いたい。

先日ブログに書いた案内の記事を読んで知ったという、Mムラさん夫妻がいらしていた。お知らせの役に立ててよかった。Eさんには、私のことを気遣って温かい言葉をかけていただき、本当に嬉しかった。ありがとうございました。

事前に知らなかったのだが、Kスケさんの弟さんもいらしていた。弟さんとお話ができたことは幸いであった。とくに、Kスケさんが生前気に掛けていたお母さんのことを聞けたのが、何よりよかった。

母親思いだったKスケさん

今年の春のクライミングシーズンのはじめに、Kスケさんに「春シーズンは、どこの岩場に行こうか」というような話をしたとき、「母の調子があまり良くないので、急に何かあると心配なので、外岩はしばらく行けない」という返事をもらった。なので、春以降Kスケさんとはジムでしか登っていない。

Kスケさんは母親思いで、以前も岩場への行き帰りの車内などでお母さんのことをたまに話してくれた。だれにでも優しい男だったが、年老いたお母さんのことはとりわけ心配していた。

だから私は、Kスケさんの訃報に接したときから、お母さんのことが心配だった。そのことがずっと気に掛かっていた。しかし、弟さんにそのことを話すと、お母さんは当初はそうとう落ち込んでいたけど、最近はだいぶ立ち直り元気になってきたとのこと。本当によかった。弟さんからそれが聞けただけで、もう十分である。

形見分けということで、Kスケさんが使っていたクライミングギアを、参加者で譲り受けた。私はロープ(ロープだけで10本くらいあった。Kスケさんは物持ちだったのだ)と、その他のものをもらったが、そのロープを一緒に使うKスケさんはもういない。

当ブログ休止のお知らせ

偶然だが、Kスケさんが亡くなったのと同時期に、私の生活(仕事)の環境に大きな変化があった。その両方の理由によって、今後しばらくは、以前のように頻繁に外岩でのクライミングやジムでのリードクライミングはできそうもない。

もちろん、ジムで少しボルダリングをするくらいの時間はあるし、たまには行くこともあるが、それだけだとあまりブログに書くべきことはない。それに、拙ブログをいちばん頻繁に読んで、たまに感想を聞かせてくれたりコメントを寄せてくれたKスケさん(2番目はOツカ先生です)がいなくなってしまったことで、書くことへのモチベーションが落ちてしまった。

というわけで、このブログも当面休止します。

個人で書いているもので、なんの義務もないのだから別段そんなことを宣言する必要もないと言えばないのだけど、ありがたいことに定期的に読みに来てくださる方もいる。なんの断りもなく記事が更新されないと、今度は私が死んだのではないかとご心配をお掛けするかもしれないため、一応お断りしておきます。

とは言えほんとうは、年末年始の城ヶ崎・シーサイドは、行きたいけどなあ。。。行けたら書きます。

追記:Kスケさんが亡くなった原因はクライミングでの事故等ではなく、急病(心筋梗塞)です。誤解なさっている方がいらっしゃいましたので、念のために追記しておきます。

左から2番目でお話ししているのがKスケさんの弟さん。当たり前だが、面影が似ている。クライミングもなさっていたらしい。いらしていただいて嬉しかった。ありがとうございました。

30名以上集まった。開催にご尽力いただいた皆様、ありがとうございました。

墓地の場所は、入り口から入って中央の通りの右側。水道施設の少し手前だ。

街区表示でいうと「C区1列5」番となる。これから行く人のために写真も載せておく。

戒名には「岳」の文字。

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