クライミングのためのダイエット。その2:体重の記録は基本だが、体脂肪率は気にしない

前回の記事では体重について詳細に書き、豚から人間へと変化する推移をグラフを公表するという羞恥プレイも行った。

毎日同じ時刻(朝の洗面後など)に体重を計測し、記録するというのは、ダイエットの基本中の基本。エクセルなどに記録してグラフ化すれば推移も一目瞭然だ。

ただし、体重計は100g単位で測定できるものが必要である。もちろん、50g単位で計測できるものでもいいが、200g単位ものではラフすぎる。もし体重計を持っていなかったり、持っていても昔の針式メーターのものだったりしたら、100g単位で計測できる体重計を入手しておこう。安いもので十分である。そして、毎日毎日体重を記録し変化を確認する。

一方、体脂肪率については、自分の場合はほとんど気にしていない。

クライミングは、同じ筋力(≒筋肉量)であれば、より体重が軽い方が有利である。その意味で、体脂肪率は本来重要なポイントであるはずだ。では、なぜ体脂肪率を記録しないのか。

その理由は、家庭用の体重計・体組成計で測る体脂肪率は、誤差が大きく、おおまかな目安にしかならないため、細かく記録することはあまり意味がないと考えているためである。

一般的な体脂肪計(体組成計)のしくみ

体重計は、重さを直接量っている。しかし、(誤解してる人も多いと思うが)体脂肪計(体組成計)は、体脂肪の量を直接計測しているわけではない。

体脂肪計は、身体に微量の電流を流して身体の「抵抗値」を測る。脂肪は水よりも電気抵抗が大きいため、脂肪の量によって抵抗値が変わる。ただし、どこに、どれくらいの脂肪がついていれば、どの位の抵抗値になると決まっているわけではない。

あくまで、サンプルとなる母集団から得た統計データから、これくらいの抵抗値なら、だいたいこれくらいの脂肪量じゃないのかな、と推計して体脂肪率として示される。

体脂肪計で測定する前に、年齢、性別などを、入力する。たとえば、30歳の男性で体重60kgといった、属性ごとの集団から計測した体脂肪率の平均値が、機械に記録されている。そして、その集団の平均の抵抗値はXで、今測った人の抵抗値はYだから、そこから推測してこれくらいでしょう、という求め方である。

体脂肪率の誤差

ここには2つ問題がある。
1つ目は、体脂肪計が測っている抵抗値が、脂肪量だけによって変化するわけではない、という問題。

たとえば、食事をしたり、水を飲んだり、排泄をしたりすれば、そのたびに身体の組成が変わり、体脂肪計が測定する身体の抵抗値も変わってしまう。

2つ目は、より本質的な問題で、もともとサンプルとしている母集団の数字から推計して求めている、という問題だ。母集団の数字に、そもそも誤差が含まれる上に、母集団の属性もわからない。

一部の体脂肪計には「一般人モード」と「アスリートモード」があるが、これは推計用のデータを作る際の母集団を、一般人(?)とアスリートに分けている、ということだ。

しかし、アスリートと言ったって、いろいろいる。レスリング選手と、マラソン選手とでは、まったく身体の組成は異なるであろう。クライミングの場合、主に上半身に筋肉がつくし、ランナーなら下半身が鍛えられている。それらをまとめて「アスリートの平均」と言われてしまう。

まして、「アスリートモード」といった、母集団の切り替えもない場合には、一般人より筋肉が多いアスリート(クライマーなど)が計測したら、母集団との乖離がかなり大きくなることは、容易に想像できる。

私たちの身体のどこに、どのように脂肪が付いているのかだって、人によって様々だ。脚が太い人もいれば、お腹だけが出ている人もいる。それらを平均から推計することは、無理があるのではないだろうか?

誤差はどれくらいか

体脂肪計に誤差があるということはわかったが、それはどれくらいなのだろう? 下記のサイトによれば、体脂肪計が示す体脂肪率の誤差は最大「8%」だったという。

誤差だらけの体脂肪率 Part3 市販の体組成計
(ATHLETEBODY.JP より)

上の記事の調査データが少し古いようなので、最近の機械ならより精度が上がっている可能性はある。それでも、誤差を考えれば1%とか2%の増減を気にすることはナンセンスだろう。

体脂肪計ではおおまな傾向をつかめばよい

体脂肪計で計測する毎回の数値の増減をこまかく比べることには意味がないとしても、一定期間の平均をとっておおまかな「傾向」をつかむためには役に立つのではないか?

それは正しいのだろう。きちんと計算していないが、一定期間(たとえば1週間)毎日測定したときの平均値と、その後の一週間の平均値との差が、1%くらい(18%と17%など)だったら、誤差の範囲だと思う。

でも、それら平均値が5%も違っていたら(18%と13%など)、正確な数値はともかく「かなり体脂肪が減った」という実態の傾向を反映はしていると思う。

あるいは、1か月前に測った時は20%だったのが、今日は15%だったとしたら、「どれだけ」と正確には言えないものの、体脂肪率が減っていることは間違いないだろう。

そのように、おおまかな状態の変化をつかむためなら、市販の体脂肪計も役に立つ。

ただし、自分の経験上では、体脂肪計で測って5%も違っている場合、体つきが「別物」と言ってよいくらいまったく違っている。わざわざ体脂肪計で測るまでなく、裸になって鏡を見れば一目瞭然でわかるだろう。

もちろん、鏡で確認しても体脂肪率の1%、2%の違いはわからないが、それは体脂肪計も同じで誤差の範囲だ。どちらにしても、5%以上といった大きな違いがなければわからないのだ。

体脂肪率を正確に測れる装置とは…

ちなみに、電気抵抗ではなく、空気置換法という方法で体脂肪を測る装置もある。イタリアのCOSMED SRL社製の「BODPOD」という機械では、ほぼ正確に体脂肪を測定できるようだ。

BODPOD ゴールド・スタンダード
(計測ナビ より)

このサイトには値段が書いていないが、他の情報によると、海外での価格は5万ドル程度らしい。

どこかのクライミングジムが導入したら、ぜひ計測してみたい。

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